宇野常寛さんの『ゼロ年代の想像力』を入手いたしました。
第四章「九五年の思想をめぐって」に小林よしのり論が含まれているようなので、まずそこから読んでみました。
宇野さんは、95年に起きたオウム真理教事件の乗り越えとして、小林さんの『脱正義論』を捉えています。
オウム事件と言えば、小林さんは『ゴー宣』で坂本弁護士事件の推理を描いて命を狙われたりと、当事者としても関わっていますが、そのことについては一切触れられていません。
宇野さんの言っているのはオウム事件の思想的乗り越えです。
盲目的に一つの価値観……宇野さん流に言えば「大きな物語」……を信じて、挙句の果てに大量殺人も犯してしまう。そんな人間になってしまうのではなく、外部の現実にさらされ、傷ついても「他者」と出会う。
おおよそこのようなことを同時代に提出された問題として受け止め、自分なりの表現で乗り越えようとしたいくつかの思想的営為として、挙げられたものの中に『ゴー宣』があるというわけです。
『脱正義論』は薬害エイズ運動がいつしか、市井の人がその時だけ結集して声を挙げるものではなく、共産党勢によって永久運動化するように仕向けられていることに異議を唱えた小林さんが、逆に運動の中心からパージされていく過程を自ら綴ったものでした。
これはまさに、「大きな物語」にからめとられようとすることへの疑義であると、宇野さんは捉えます。
ところが後に登場した『戦争論』においては、さらなる展開を見せることになる。
個人が自分の力でものを考えることの困難さにブチ当った小林さんは、たとえ物語でも、強固な価値観を「あえて」選択する……この本の表現で言えば「決断主義」に傾いたというのが、宇野さんの『戦争論』解釈です。
つまり小林さん自身、本当はあの戦争が正しかったとか、日本がいつでも間違ったことはしていなかったとか、そういうことを本気で信じているのではなく、「個」の弱い読者たちのために、「あえて」強固な物語を用意してくれたのが『戦争論』だったというわけです。
宇野さんは、一見真逆の展開になっているように見える『脱正義論』と『戦争論』は、実は、日本人が個として思考出来ないことへの小林さんの絶望から発しているという点において、同じ根にあると捉えているのです。
次回の道場のテーマに即して言えば、先日のブログにあった小林さんの次の言葉とリンクすると、僕は考えます。
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日本では「世間」に慣れ親しむ人たちが「大人」なのである。
あくまでも日本では。
わしは一生「大人」にはなれないかもしれない。
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宇野さんは、日本社会の中での小林さんの独特の位置を、鋭く見抜いています。
僕たちは、本当に個として思考することが出来るのか?
そのことは、日々問いかけ続けなければならないことです。
ゴー宣の読者だから、ゴー宣道場に参加しているから、深くものを考えられているとは限りませんよ……というカンフル剤としての、宇野さんのゲスト招聘なのではないかと、僕は考えます。
『幼児化する大人たち』
平成26年10月12日(日)午後1時 から
『人事労務会館』 にて開催します。
「人事労務会館」
(住所:東京都品川区大崎2-4-3 )は、
JR山手線・埼京線・湘南新宿ライン・りんかい線
『大崎駅』 の 北改札口 を出て左へ、
「西口」 側の左階段を降りて、徒歩3分です。
毎回、会場の場所が分からず迷われる方が、多くいらっしゃいます。
人事労務会館のHPにて、場所をよくご確認の上、ご来場下さい
(HP掲載の、駅から会場までの地図を印刷し、持参されることをオススメします )
詳しくは、 “ こちら ” でどうぞ。
10月12日の「ゴー宣道場」のテーマは
『幼児化する大人たち』。
宇野常寛氏、古市憲寿氏をゲストに迎えて議論する。
最近の大人は幼児化しているのではないか?
赤ちゃんみたいに泣きじゃくる号泣議員なんてわしは
生まれて初めて見たし、女子中学生とLINEやって、
仲間外れにされてキレて恫喝する議員というのも
幼稚すぎるのではないか?
どーもおかしい。
最近は幼児化した大人ばかりのような気がする。
AKBに嵌ってる小林よしのりや宇野常寛も
幼児化してるのか?
そこで「ゴー宣道場」では、若手論客の
宇野常寛氏、古市憲寿氏を迎えて、意見を聞いて
みようと思う。
さらに「ゴー宣道場webサイト」では、
「最近こんな幼児化した大人を見た!」という
目撃談を大募集する。
政治家・言論人・有名人、そして身の周りにいる
幼児化した大人たちの目撃談を
下の画像のリンク先「アンケートページ」から
報告してほしい
当日、道場の入場料は、お一人様1000円です。
参加ご希望の方は、このweb上の申し込みフォームから申し込み可能です
上 ↑ のメニュー「道場参加申し込み」、もしくは下 ↓ の申し込みフォームバナー(画像)を
クリックして、申し込みページにお進み下さい
入力必須項目にご記入の上、お申し込み下さい
お申し込み後、記入されたメールアドレス宛に「申し込み確認メール」が届きますので、
ご記入内容に間違いがないか、よくご確認下さい。
※「申し込み確認メール」が届かない方は、以下のような原因が考えられます。
・迷惑メール対策サービスを利用していて、「ゴー宣道場」からのメールが迷惑メールと判定されている
・着信拒否サービスを利用していて、「ゴー宣道場」からのメールが着信拒否の対象となっている
・ドメイン指定受信を利用していて、「gosen-dojo.com」のドメインが指定されていない
・セキュリティソフトやメールソフトで迷惑メール対策をしていて、 「ゴー宣道場」からのメールが迷惑メールと判定されている
「reply@gosen-dojo.com」からのメールを受信できるよう再設定をお願い致します。
「申し込み確認メール」が届かない場合、当選メールも届かない可能性がありますので、
ご注意ください
申し込み〆切後、当選された方にのみ「当選メール」を送らせて頂きます。
当選された方は、道場当日、
その「当選メール」をプリントアウトの上、会場までご持参下さい。
応募〆切 は 平成26年10/1(水) です。
当選通知の送付は、応募〆切後になりますので、しばらくお待ち下さい
皆様からの多数のご応募、お待ちしております